2022.12.29

台湾野球事情 − プロ野球

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今回は大学生以降の野球について紹介していきましょう。

大学生以降は成人棒球と呼ばれ、2タイプに分かれます。

  • ① 業餘棒球 社会人野球/アマチュア野球
  • ② 職業棒球 プロ野球

実は台湾では社会人野球とプロ野球のレベルの差はないと言われています。

Photo credit: catkinchou on VisualHunt

台湾プロ野球、中華職業棒球大聯盟( Chinese Professional Baseball League 通称 CPBL)
は1990年リーグ開始と実はあまり歴史は長くありません。
その中で野球賭博が発覚し、球団が解散に追い込まれたりと野球人気が低迷しましたが、2013年WBCの影響で人気が盛り返して来ました。
日本のパリーグと同じDH制で前期・後期60試合、合計120試合。

Photo credit: bartsheng on Visualhunt

プロ野球選手になるためには…
日本と同じく台湾にもドラフト会議(選秀會)があり、毎年6月頃に開催されます。
参加できる条件は高中棒球聯賽(木棒組)(CPBLが主催する国内試合)、或は社會甲組、大專甲組(一定レベル以上の社会人野球、大学野球)で出場経験があり、コーチの推薦がある選手。またドラフト会議前に行われる新人テスト中華職棒新人測試會を受けて合格した選手に参加資格が与えられます。
台湾のドラフト会議では高校卒業したばかりの選手が好まれる傾向があります。

それではプロ野球チームを紹介しましょう。
これまで解散や売却で球団数や球団名が変わることもありましたが、2021年現在は5球団。

  • ・中信兄弟(中信ブラザーズ)/台中

    CPBL発足当初から存在する老舗球団で3連覇の記録を持つ。日本でいうと読売ジャイアンツのイメージ。経営難によるオーナーの球団売却がありましたが、黄色のユニフォームは変わらず。ファン達からは『黃金聖衣』と呼ばれています。
    2021年からはかつて阪神タイガースに在籍していた林威助監督が指揮を取る。

  • ・統一獅(統一ライオンズ)/台南

    南部唯一の球団。
    セブンイレブン系列の統一グループが運営しているため優勝するとセブンイレブンで割引になって嬉しいので野球ファンでなくても応援してしまう球団かもしれません。
    日本でいうソフトバンクホークスのイメージでしょうか。

  • ・富邦悍將(富邦ガーディアンズ)/新北

    台北市の隣にある新北市の新莊體育場棒球をホームとする。台北観光や出張ついでに行きやすい球場かも。
    チーム名のガーディアンズ(守護者)には運営会社である富邦ファイナンシャルの正義感と勇気という企業精神が込められています。

  • ・樂天桃猿(楽天モンキーズ)/桃園

    近年人気急上昇している球団で応援に啦啦隊(チアリーダー)を登場させ、単に試合観戦するのではなく、球場に足を運ぶ楽しさを提案しました。また、ホームゲームという概念がなかった台湾プロ野球界に於いて、初めて桃園にホームグランドを設置した球団。
    2021年の球団テーマソングは台湾人気バンド滅火器 FIREEXが歌っています。

  • ・味全龍(味全ドラゴンズ)/新竹

    1999年に球団が解散した後、2019年に運営会社である味全食品的頂新集團が球団再結成することを発表。2021年に約20年の時を経てCPBLに復帰。
    2019年、川崎宗則が選手兼コーチとして就任したことも記憶に新しいですね。

台湾ではフリーエージェントやトレードの制度があまり一般的でなく、
(2019年に外国のリーグと移籍に関するポスティング契約を結びました。)
選手は一度入団団から移籍することはほとんどありません。

台湾球界の人気スター選手といえば、2019年に惜しまれつつ引退した中信兄弟の恰恰(チャチャ)こと、彭政閔選手。主力打者として国際試合でも活躍、実力と人柄を兼ね備えチームの域を超えて台湾野球ファン達に愛されています。

Photo credit: genewang0123 on VisualHunt.com

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それから2018年、台湾初となるポスティングシステムを利用し、Lamigoモンキーズ(当時の球団名)から日本ハムへ移籍した王柏融選手。2016年2017年の年間打率は驚異の4割超え。
ちなみに王伯融選手が在籍時に着けていた背番号9は永久欠番となっています。
誕生日が9月9日なのでラッキーナンバーなのでしょうか。

Photo credit: 周煥翔 on flickr.com

各チームの人気選手といえば

  • 中信兄弟
    王威晨選手、詹子賢選手、林智勝選手、李振昌選手、鄭凱文選手。
  • 統一獅
    陳傑憲選手、蘇智傑選手、林安可選手は3外野選手は成績も良く、イケメンで人気。 潘威倫選手、陳鏞基選手。
  • 富邦悍將
    林益全選手、高國輝選手、陳鴻文選手。
    新世代のサウスポー陳士朋選手、アメリカ人である羅力(Mike Loree)選手。
  • 樂天桃猿
    陳禹勳選手、陳俊秀選手、林泓育選手、郭嚴文選手。

そして最近注目すべきは若干20歳の味全龍の徐若熙選手。
2021年のデビュー戦で11アウトを全て三振で取り、台湾国内外の野球ファンを驚かせました。

台湾野球はどちらかというと『打つこと』に重きを置いている傾向があり、投手力が弱いと言われていました。以前は安定して投球できる先発投手はほとんど外国人選手でしたが、現在は球団それぞれにエースピッチャーがいます。

體育班に進学しないケースとして中学を卒業して日本など海外へ野球留学する学生もいます。
例えば、陽岱鋼選手は福岡第一高校に野球留学した後に日本プロ野球界へ進みましたね。

これは日本側からのスカウトであったり、ある程度実績のある学生の場合がほとんど、或いは日台交流の意味合いもあります。

日本への野球留学をサポートしている台日野球留学支援の担当者に話を伺いました。

「基本的に中学を卒業した生徒の日本の高校への留学を支援をしています。
もちろん大部分がプロ野球選手を目指していますが、プロ選手は狭き門であり、またプロになれたとしても活躍できる期間は限られています。
そして、台湾の體育班はトレーニングメインのカリキュラムのため、セカンドキャリアの知識や能力が不足していることが問題だと提議する人もいます。
プロ選手はもちろんですが、野球を通して日本のトレーニング方法、文化、語学を学び、
その後のセカンドキャリアを見据えて日本留学を希望する学生も多くいます。
私どもは学生、保護者、学校の希望に添えるよう、学生が活躍できるような環境を案内しています。」
→ 日台野球留学支援 ←

近年、海外経験のある選手が台湾に戻りCPBLでプレーする選手が増えて来ています。 台湾では海外での野球経験がある選手も新人選手同様にドラフト会議に参加できる点が日本と異なります。(これらの選手は契約金を受け取ることができません。)
例えば、千葉ロッテマリーンズに所属していた陳冠宇選手は2021年7月に行われたドラフト会議で樂天桃猿で一位指名されました。

同じように海外経験のある監督やコーチに就任することことで海外の戦術やトレーニングに影響を受けた新しい台湾スタイルの野球が生まれてくるかもしれませんね。
今後の台湾野球に注目していきたいと思います。

Photo credit: lusunbo on Visualhunt

こちらのサイトではCPBLに関する情報、試合スケジュールや結果などを見ることができます。
台湾野球に興味がある方は、ぜひ見てみてください。

中華職業棒球大聯盟

Cover Photo credit: genewang0123 on Visualhunt.com

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